ホワイトニングや歯列矯正など、歯の見た目を良くしてくれる審美歯科施術に興味を持っている人は多いでしょう。
しかし、同時に多くの人が「どのくらいかかるんだろう?」「やっぱり高いのかな……」と不安にもなっているのではないでしょうか。「安ければ受けたいし、高ければやめておこう」というのが多くの人の本音だと思います。
そこで、このページでは審美歯科で行われる診療・施術の費用について詳しく説明をしていきます。歯のホワイトニングなどを考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
審美治療は保険適用?それとも自由診療?
結論から言うと、歯の審美治療は基本的に自由診療となるため、費用が高額になりがちです。
歯科に限らず、医療関係の費用を考えるにはまず「保険が適用されるかどうか」から考えるのが良いでしょう。
日本は国民皆保険の国なので、基本的に誰しもが保険料を支払っていますし、保険適用の治療・診療に関しては自己負担額を減らすことができます。
歯科で保険適用となる治療(診療)内容は?
歯科ではどういった治療が保険適用となるのかというと、例えばレジン(合成樹脂)の詰め物を入れた場合や、銀歯を入れた場合がそうです。
これらはあくまでも虫歯(病気)の治療という扱いになるため、保険が適用されます。普通に虫歯ができて歯医者に行ったときに行ってもらうような治療は基本的に保険適用ということですね。
逆に、審美治療は原則として保険適用になりません。見た目を良くする目的で行われる施術は、保険でカバーするものではないというスタンスから来ています。
保険適用外(自由診療)となる治療の例
保険適用外になる治療としては、歯を白く見せるためのオールセラミックのクラウン、薬剤などを使用する高度なホワイトニング、歯の矯正などが挙げられます。
実際には一部の場合でレジンとセラミックのハイブリッドの素材を保険適用で使えることもありますが、ケースと医院によるので問い合わせないと分からない場合があります。
白い詰め物(クラウン)でも保険が適用できる場合がある
画像引用元:https://www.shiken-jp.com/products/crown/cadcam.html
従来、保険適用ができる歯の詰め物・被せ物と言えばレジンかメタル(いわゆる銀歯)でしたが、これらは安価な代わりに審美性に欠けたり、レジンは耐久性にも難があったりしました。
しかし最近は、条件さえ満たせば、より審美性と強度に優れたハイブリッドレジン(ハイブリッドセラミック)の詰め物・被せ物を保険診療で行うことができるようになりました。
これはCAD/CAM冠と呼ばれ、その名の通りCAD/CAMというコンピュータを使用して削り出します。これまで機械と人の手によって作られていたものを、完全に機械だけで作れるようになり、低価格化・短納期化が実現したのです。
とはいえ、全ての歯に保険診療で使えるわけではなく、適用されるのは前から数えて4本目・5本目の小臼歯などの一部に限定されています。
なお、大臼歯にも適用できる歯がありますが、素人には判断が難しい条件が加わってきます。
適用外の歯に使用する場合や、必要な条件を満たしていない場合は保険適用外となるので、実際に適用できるかどうかは歯科医に聞いてみましょう。
各審美治療の費用相場
前項で、審美治療は自由診療になるという話をしました。
自由診療とはどういうことかというと、各医院が独自の料金を設定できるということです。つまり、同じような治療でも歯科医院ごとに値段が違っているのです。
これは医院によって扱っている材料やクラウン作成費用が異なるという理由があるからでもあります。設備や技術などを考慮して総合的に決められているのですね。
どのくらい幅があるのか、実際の治療ごとに例を挙げて確認していきましょう。
オフィスホワイトニング
ホワイトニングには歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」と家で行う「ホームホワイトニング」がありますが、ここではオフィスホワイトニングの料金をピックアップしました。
歯科医院A | 19,440円 |
歯科医院B | 上下20本で20,000円 |
歯科医院C | 9,000円 |
オールセラミック
レジンを混ぜない、純度100%のセラミックでクラウンを作る治療です。審美性に非常に優れている反面、価格も高くなりがちです。
歯科医院A | 100,000円 |
歯科医院B | 58,400円~(高級素材だと30万円以上の高額も) |
歯科医院C | 180,000円 |
歯列矯正
歯並びが悪い人にブラケットなどを取り付けて、綺麗な歯の並びを実現する治療です。ブラケットが見える(唇側に付ける)場合の方が、ブラケットが見えない(舌側に付ける)場合よりも費用を抑えられます。
ここでは、上下の歯並びを唇側にブラケットを取り付けて矯正する場合の価格をピックアップしました。
歯科医院A | 900,000円 |
歯科医院B | 500,000円 |
歯科医院C | 756,000円~ |
※各表の「歯科医院A」「歯科医院B」「歯科医院C」は同じ医院とは限りません。
いかがでしょうか。金額にかなり幅があることがお分かりいただけたかと思います。そのため、審美歯科医院には安さを売りにしているところも少なくありません。
安ければ良いというものでもありませんが、料金も含めて医院選びをしていく必要があるのは間違いないでしょう。
デンタルローンなどを組む人もいる
ここまででお分かりの通り、審美治療は多額の費用がかかります。一括でポンと払える人ばかりではないですよね。
そこで、「デンタルローン」というものを活用して支払いを行っている人もいます。これはその名の通り、歯科治療の支払いに使うことのできるローンです。
いくつか例を紹介します。
スルガ銀行のデンタルローン
デンタルローンで有名なのはスルガ銀行のもので、年利2.5~7.5%と低金利なのが特徴です。インプラントや歯列矯正、審美歯科治療の費用に使用することができます。
最高限度額は800万円となっていて、歯科治療目的なら十分な額でしょう。
アイフルの目的別ローン
消費者金融のアイフルの目的別ローンには「デンタル」の項目があります。実質年率13.0%~17.0%で、利用上限は50万円となっています。
選択肢の一つとして知っておくと良いですね。
オリコWebデンタルクレジット
デンタルローンとは少し違いますが、インプラントや矯正治療の費用を分割で支払うことができる決済システムが「オリコWebデンタルクレジット」です。
利用するためには、提携歯科医院で申し込み用のパンフレットを入手する必要があります。詳細は提携歯科医院で聞いてみましょう。
審美治療を行ったら医療費控除もチェック
ここはとても大事なところなのですが、審美治療でかかった一定額以上の費用は医療費控除の対象となる場合があります。
歯の治療で金やポーセレン(セラミック)を使った場合は、控除の対象になると国税庁サイトにも載っているのです。
(1) 歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などがあり治療代がかなり高額になることがあります。このような場合、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象になりません。現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります。
引用元:No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例|国税庁
計算の結果、税金を多く払いすぎていた場合は還付金として戻ってくるので、控除対象になるものは忘れずに手続きを行いましょう。
毎年年末調整が行われていて確定申告をしていないという人も、審美治療を受けたら確定申告をした方が良いことを覚えておいてください(年末調整で医療費控除の申請を行うことはできません)。
歯のホワイトニングなら審美歯科を使わずに行う手も
ここはちょっと余談になるのですが、ホワイトニングに関しては審美歯科を利用せずに、安価で満足のいく白さを手に入れている人もいます。
その方法とは、以下のような「自宅で歯のホワイトニングができるアイテム」を利用することです。
ビースマイル
専用のジェルを使って自宅で簡単にホワイトニングが行えるキット。ジェルを塗った歯にLEDライトを当てるのが本格的ですよね。
一般的なオフィスホワイトニングでは15,000円~30,000円が相場と言われているところ、ビースマイルなら約15回分が初月4,800円(税抜)、二ヶ月以降2,700円(税抜)という価格なので、比較的安価にホワイトニングを試すことができます。
初月は一回あたり約320円なので、コンビニでのちょっとした買い物くらいの金額ですね。
薬用パールホワイトプロEXプラス
こちらはホワイトニング歯磨きジェルで、毎日の歯磨きにプラスで使用することでホワイトニング効果を得られます。「薬用」の名の通り医薬部外品なのも信頼できますね。
いつもの歯磨き後に歯ブラシにジェルを取り、そのままブラッシングするだけという手軽さが嬉しいアイテム。
価格は初月1,980円(税抜)で二回目以降は5,480円(税抜)。毎日使えることを考えると、やはり審美歯科でのホワイトニングよりリーズナブルでしょう。
まとめ
歯の審美治療は審美性(見た目の良さ)を意識した施術を行うため、多くが自由診療となり費用もかさみがちです。デンタルローンなどもありますが、できれば使わずに済んだ方が良いですよね。
医院によって同じ内容でも費用が異なることはざらにあるので、よく比較した上で医院選びを行ってください。
また、審美治療は内容によって保険診療となったり、医療費控除の対象になったりすることがあります。よく確認し、必要に応じて確定申告を行うようにすると、実質的な費用負担を多少なりとも抑えることができるでしょう。